1年目9月のおでかけポイント
No.06 練馬光が丘公園
環境:森林・池
7〜8月は干潟環境を続けて訪問したので、今回は少し内陸に入って森林環境での鳥を探すことにしました。春に日本へやってきて子育てをした夏鳥たちがそろそろ南へ戻るために山間部から平地へやってきて移動を開始する9月。そんな鳥たちに会えないかと、練馬区の光が丘公園へやってきました。
この公園は練馬区で一番広いだけではなく、バードサンクチュアリーが設定されており、野鳥を驚かすことなく観察ができるハイド(観察小屋)があります、基本的に土日祝日のオープンですが、平日にも開くことがあるようなので、訪問されるときは、ネットで事前にチェックしてから行くのも良いでしょう。
光が丘公園バードサンクチュアリーの情報について
http://hikarigaoka.blog35.fc2.com/
観察窓の数は限りがあるので、皆で楽しく見られるように譲り合いをお願い致します。
観察窓から覗くと、まずアオサギが見えました。
池の縁に生えているヤナギの木にはオナガの群れがいました。1月から23区を廻っていますが、今回が初めての出会い。青い羽と黒い頭が綺麗な鳥ですが、カラスの仲間なので「ゲーィクイクイクイ」などと濁った声で鳴きます。どうやら水を飲みや水浴びにきたようでした。
オナガの群れが去り、周囲を改めて見回すとカルガモが3羽休んでいます。アオサギとカルガモは、23区内の水辺には多い鳥のようです。フィールドに出た時はまず探してみるとよいでしょう。
突然、チーッという鋭い声が水面を走っていきました。カメラマンさんたちが「あ、カワセミ!」と叫び、指差して教えてくれましたが、そのまま飛び去ってしまいました。綺麗なブルーの背中は見られ、記憶を頼りにイラストを作成しました。
サンクチュアリを後にして、公園内の林を散策してみることにしました。この日はハシブトガラスがよく見られましたが、残暑の厳しい時期に黒い体は暑そうです。
しかし、地面を歩いているハシブトガラスの中には、何かをしきりにさがしている様子の個体もいたので、しばらく観察してみることにしました。
すると、何かをくわえた後に、足で押さえて食べる様子を確認。
なんとセミの死骸を食べていました。自分の周囲をみると、生涯を終えたセミの死骸があちこちに散らばっています。
この個体はまだ口の中が赤く、今年生まれたばかりの個体のようで、おそらく自力で餌を探すのがまだ上手ではないのでしょう。簡単に手に入るセミの死骸でお腹を満たしているようですが、自然界では命が循環していることを学ぶ機会をカラスが改めて与えてくれました。
今回は鳥の種類数は10種類でした。20種近く観察できた月に比べれば少なめでしたが、カワセミを含めて新しい種類は2種類も追加できましたし、カラスの観察から自然の摂理をしっかり教わりました。フィールドに出れば、必ず出会いがあることを知った夏の日でした。
ちなみに、光が丘公園では、これまで60種類くらい観察されているそうですので、足繁く通うと、思いがけないすてきな出会いがありそうです。
お勧め機種
陽射しの強く暑さの厳しいこの時期は、体の負担をなるべく減らして体力の消耗を押さえることを優先しましょう。望遠鏡の持ち運びがたいへんなので、その日の体調と相談して双眼鏡だけにすることも検討しましょう。明るさを確保したEDレンズ採用の双眼鏡のほうが木陰にいる鳥の探索に便利ですが、軽量のもので体の負担を減らしてもよいでしょう。水辺でカルガモやアオサギ、カイツブリなどを望遠鏡でしっかり観察したい方は、なるべく軽い三脚を選んでみてはいかがでしょう。
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感動と発見をもっと近くに
野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)
プロフィール1973年石川県生まれ。 5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。 |
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